家族の個人情報と引き換えにAmazonクーポンを入手した話

ベネッセ! 個人情報! お詫びの品!

……というわけで、我が家では所属する人員のうち65%以上に及ぶ個人の情報流出が確認されたとのことで、ベネッセから封書が届きました。
こうした情報の流出に対する「お詫び」は500円、というのが相場としてあるようですね。

すでに他でも紹介されていますが、封書で金券そのものが送られてきたのではなく、受け取りの方法が選べるようになっていました。
ベネッセのウェブサイト「お詫びの品受付ページ」にて手続きを行うことで電子マネーと引き換え(楽天エディ、ナナコ、Amazonクーポンの3種)、またはハガキでの手続きにより図書カード、もしくは(財)ベネッセこども基金への寄付から選ぶことができます。

……「(財)ベネッセこども基金への寄付」だって?

はて。

説明によれば、同財団は『未来ある子どもたちへの支援や子どもたちが安心して学習に取り組める環境の確保などを目的として』設立され、活動の内容として

【財団の活動・助成の例】
・経済的理由や重い病気などの困難を抱える子どもたちの学習や進学の支援
・グローバル社会を生きる子どもたちの学び支援(例:国際交流や留学支援など)
・子どもの安全・安心を守るための活動
 (例:子どもの防犯に関する活動や個人情報保護に向けた社会的な取り組みの促進など)
・その他、子どもたちの成長支援に関する活動  など

……とあります(引用は【「財団法人 ベネッセこども基金」の設立について| ベネッセお客様本部】より)。

で、「お詫び」の受け取り(?)方として同基金への寄付を選んだ場合、一件あたり500円が基金に組み込まれて、財団の活動に使われる、と。

今回の情報漏洩についてすべての責任がベネッセにあるとは思わないし、同社だけを非難する気はまったくなかったんだけども、この対応を見ていささかの違和感と動揺を覚えているわたくしです。

「お詫びのあり方」として同財団・基金の設立、というところまではなんとか理解できるが(しかしこれはかなり好意的な姿勢だと思う。設立までの経緯と検討の内容をもっと説明するべきだ)、その活動に賛同し寄付することを、「お詫び」の受け取り(?)方法の選択肢に入れこむとはどういう回路なのだろうか。

そもそも財団の活動内容自体あいまいだし、ベネッセとしていくら出資するのかも、理事会・運営にどんな人が関わるのかも不明。
寄付を募るにはあまりに準備不足だし(どこの誰とも分からないものに「寄付」?)、「お詫び」として渡されるはずのものが(企業とは別の団体とはいえ、ほとんど同一にみえる)懐に「戻って(あるいは留まって)」いるように見え、まったく賛同し得ない、もっと言ってしまえばかなりベネッセにとって相当都合のいい提案、という印象を受けました。せめて「寄付」一口ごとにさらに上乗せして基金に組み込むとかいうしくみがあれば違ったと思うのですが……。

家庭内協議の結果、うちではAmazonクーポンに交換することになりました。実際、これで買い物する人も多いだろうし、だいぶ遠いところの桶屋がもうかった感じですね。

しかし正直、よくわからないうちに個人情報を登録し、まったく知らない間に漏洩され、当事者感もないうちにお詫びされ、要領を得ないうちに選択し、どこにあるとも知れない電子マネーを使って、どこかで誰かがピックアップしてくれる商品を購入する。
もやのなかに居るような、おかしな具合だなあと思います。

one more thing,
今回の「お詫び」は、漏洩した情報一件につき一律500円が支払われている(あるいは財団に寄付されている!?)ようですが、「ベネッセの個人情報」=「子ども(幼児・児童・中高生)」かっていうとそんなことはなくて、その保護者とか、ベネッセのサービス(e.g.妊娠・出産・育児の悩みに関する口コミサイト「ウィメンズパーク」)を利用している大人(年齢層広い)の情報も含まれています。
なんとなく子どもの情報の方が利用価値が高そうな気もするけど下手に線引きもできないし、とはいえ妙な平等感がもやもや