やがて、ふたたび目を覚ますわたくし。
自分で起きたのか、起こされたのかは判然としないけれども、どうやら一晩が過ぎていたようで、ぼんやりと視界はいくらかまばゆく、これは陽の光か照明なのか、と思いながら、ぼーっとしている、人の気配、のどの渇き、すみません、あのぅ、スミマセン……
なにも心細いことはなく、声をかければ答えてくれる人の存在は、実にありがたいものでした、ということを、改めて思い出しております。
吸い飲みを何度か差し出され、くびり、ぐびり、くぴり、ごくりとした水は、特段に旨いとかありがたいとかそういうことはなかったけれども、あんだけ存在感のある水を飲んだのは初めてだ。
ほほぅ、これが水というものですか! とかそんくらいすごいかった。
んで、それからしばらく経つと、先ほどの看護士さん(……だと思う、声でしか判断できない、顔は見えていない)が「じゃあフセさん、歯磨きしてください」とか言って、右手に何かを握らせる。いや、何かってそりゃ、歯磨きって言っているのだから、歯ブラシです。